エックス線作業主任者過去問解説(09下公表問題)

何がしかの基礎知識なりテキストなり持ってる人を対象に簡潔な解説にした。


エックス線作業主任者試験A 1/2 エックス線の管理に関する知識

問1 答(3)
透過率 = I(透過後の線量)/I0(透過前の線量) = exp(-u(線減弱係数)*x(厚み))
これの対数とったlog(I/I0) = -u*x を元に考える
線減弱係数=質量減弱係数*密度も知っとく
鉄の透過率、線減弱係数、厚みを、a,u,xとし、同じくアルミをb,v,yとする
重ねた透過率(I/I0)=a*b=exp(-u*x)*exp(-v*y)=exp(-u*x-v*y)
対数とると、log(I/I0)=-(u*x+v*y)
log(I/120)=-(7.7*0.3*0.75+2.6*0.19*0.7)=-2.08
log2=0.693で割る
log(I/120)/log2=-2.08/0.693=-3
log(I/120)=-3*log2=log2^-3
logを外すと、I/120=2^-3=1/8
I=15

問2 答(2)
点Qおいて3月での線量当量=0.2(mSv/h)*(3(m)/15(m))^2*(110/3600)(h)*n(枚/週)*13(週)
これが1.3(mSv)以下になれば管理区域外となるから n<=409(枚/週)

問3 答(3)
(1)×レイリー散乱は波長に変化なし(エネルギーの低い光子がエネルギーを失わず散乱する)
(2)×入射エネルギーが高くなると前方(照射方向)散乱が多くなる
(3)○エネルギーの低いほうから光電効果、コンプトン効果、電子対生成
(4)×光電子の運動エネルギーは入射エネルギーから飛び出す前の軌道電子結合エネルギーを引いた量
(5)×電子と陽電子の電子対で電子2個分のエネルギー1.02MeV

問4 答(5)
(1)×ターゲットはタングステンやモリブデン、ターゲットの支持部が銅
(2)×昇圧でなく降圧
(3)×陽極でなく陰極
(4)×真空
(5)○

問5 答(1)
(1)×応力測定は回折を利用

問6 答(1)
(1)×特性エックス線の波長はターゲット原子番号が大きくなると短くなる
以前の解説では原子に特有としか書いてないような気がする

問7 答(4)
I/I0=B*exp(-u*x) の Bが再生係数、コンプトン散乱の散乱線が入射エネルギーに重畳する
u*x<1:B≒1, u*x>1:B≒u*x, 原子番号大または入射エネルギー2MeV超:B=1+u*x
(1)×線量率と直接の関係はない
(2)×エネルギーに依存する
(3)×線束が広いほど散乱線が入り乱れ大きくなる
(4)○吸収体が厚くなるほど散乱線が入り乱れ大きくなる
(5)×離れると小さくなる

問8 答(4)
(1)○そのとおり
(2)○ある厚さまで大きく減少し、それ以後ほぼ一定になる
(3)○(1)により、スペクトルの形が右(高エネルギー側)へシフトする(硬化)
(4)×(3)により、実行エネルギーはある厚さまで大きく増加し、それ以降ほぼ一定になる
(5)○再生係数を考慮すると厚くなる

問9 答(5)
厚くなると、前方散乱は減少し、後方散乱はある程度まで増加する
重い原子ほど光電効果または電子対生成が多くコンプトン散乱が少ない
散乱は照射方向と同軸方向(0degに近い方、180degに近い方)が多い

問10 答(4)
A×床上1m
C×バックグラウンド値を減算する
<基発第253号 別添1 管理区域の設定等に当たっての留意事項http://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-42/hor1-42-20-1-2.html


エックス線作業主任者試験A 2/2 関係法令

電離放射線障害防止規則、以下法令名記載なきものは同規則>
問1 答(2)
(1)○<第56条>
(2)×<第56条>雇い入れ又は配置替えの際、使用する線源の種類等に応じて「白内障に関する目の検査」を省略できる
(3)○<第56条>
(4)○<第57条の2>
(5)○<第58条>

問12 答(5)
<第8条>
a:胸部(妊娠可能な女性は腹部)
b:頭・頸部、胸・上腕部(男性又は妊娠可能でない女性を除く)、腹・大腿部(妊娠可能な女性を除く)のうち最も多い部位
c:最も多い部位が頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部以外ならその部位

問13 答(4)
(1)○<第9条>
(2)○<第9条>
(3)○<第9条>
(4)×<第9条>3月ごと及び1年ごと
(5)○<第9条>

問14 答(5)
(1)×<第3条>必要のあるもの以外
(2)×<第15条>20uSv/h
(3)×<労働安全衛生法第88条>30日前までに労基署長
(4)×<第17条>手動はだめ
(5)○<第3条の2>1週間につき1mSv以下


問15 答(2)
(1)×<第4条>5年間に100mSv
(2)○<第4条>
(3)×<第7条>100mSv
(4)×<第7条>1Sv
(5)×<第6条>2mSv

問16 答(1)
(1)○<第54条>
(2)×<第54条>まず1cm、70umが1cmの10倍を超える恐れがあるなら70um
(3)×<第54条>測定困難なら計算よし
(4)×<第54条>資格の記録の定めなし
(5)×<第54条>5年間保存すればよし

問17 答(1)
<エックス線装置構造規格 http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-12/hor1-12-5-1-0.htm

問18 答(5)
(1)○<第47条>
(2)○<第47条>
(3)○<第47条>
(4)○<第47条>
(5)×<第47条>

問19 答(2)
A○<第57条>
B×<第54条>5年
C○<第9条>
D×<第45条>5年

問20 答(3)
<この問は労働安全衛生法、施行令、施行規則>
(1)○<法第12条の2、則第12条の2>10人以上50人未満なら安全衛生推進者が必要
(2)○<法第10条、令第2条>製造業等々で300人以上なら総括安全衛生管理者が必要
(3)×<法第12条、則第7条>製造業は第一種
(4)○<法第13条、則第13条>1000人以上なら専属の産業医が必要
(5)○<法第19条>


エックス線作業主任者試験B 1/2 エックス線の測定に関する知識

問1 答(2)
(2)×エックス線とガンマ線に対して使われる

問2 答(2)
(2)×数え落しとは線量率が高くイオンの固まりが分解される前に次の放射線が入射して数えられないこと

問3 答(3)
2.5e-5(Gy/h)*1.2(Sy/Gy)*(20/60)(h)=10(uSv)
10(uSv)/(90/3600)(h)*0.92=368(uSv/h)

問4 答(1)
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-33-1-0.htm

問5 答(4)
(1)×気体増幅は比例計数管においてイオン化が連鎖すること
(2)×窒息現象はGM計数管において数え落しが多くなり計数しなくなること
(3)×グロー曲線は熱ルミネセンス線量計における加熱温度と発光量の関係
(4)○
(5)×G値は化学線量計の原理に使う化学反応の度合い

問6 答(5)
そのまんま

問7 答(2)
(1)×方向依存性が大きい
(2)○下表参照
(3)×下表参照
(4)×下表参照
(5)×湿度に弱い

電離箱式 30k〜2MeV
30k〜2MeV
1u〜100mSv/h
1u〜300mSv/h
GM式 50k〜2MeV
0.3u〜300uSv/h
0.1u〜10mSv/h
シンチレーション式 50k〜3MeV
50k〜3MeV
0.1u〜30uSv/h
BG〜30uSv/h
半導体式 50k〜3MeV
1u〜100mSv/h

  引用元 上段:放射線安全管理の実際(アイソトープ協会) 下段:アロカHP


問8 答(4)
n0(真値) = n(測定値)/(1-n*t(分解時間)) = 1200/(1-1200*100e-6) = 1364

問9 答(2)
(2)×フィルターはエネルギー特性補正

問10 答(1)
C×説明が逆
D×どちらも再利用できる


エックス線作業主任者試験B 2/2 エックス線の生体に与える影響に関する知識

問11 答(4)
(4)×クリプト細胞で盛んに分裂、先端部は寿命終わって抜け落ちる
ベルゴニー・トリボンドーの法則(細胞分裂が活発なほど、将来の分裂数が多いほど、未分化なほど感受性が高い)

問12 答(4)
リンパ・骨髄(造血)・生殖>小腸・皮膚>甲状腺・筋肉・結合組織>骨・神経

問13 答(5)
そんまんま

問14 答(2)
B×急性影響
D×晩発影響のうち、白内障など確定的影響に分類されるものは重篤度が被曝量に依存し、がんなど確率的影響に分類されるものは被曝量に依存しない

問15 答(3)
(1)×確定的影響の説明
(2)×確率的影響の説明
(4)×確率的影響の説明
(5)×確率的影響の説明

問16 答(5)
(5)×2本鎖切断は修復困難

問17 答(4)
(1)×間接作用の説明
(2)×直接作用の説明
(3)×直接と間接が逆
(5)×直接と間接が逆

問18 答(3)
A×RBE=同じ生物学的効果を得るのに必要な基準放射線の吸収線量/同じく試験放射線の吸収線量
D×倍加線量が大きいなら影響は起こりにくくなる

問19 答(2)
(1)×造血障害
(2)○概ねA:B:C=1:10:100Gy
(3)×A
(4)×3.5日
(5)×中枢神経障害

問20 答(5)
(5)×確定的影響